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2009年1月29日 (木)

ありがとう

1月27日、リキが15年9ヶ月13日で天国へいってしまいました。

リキが刻み続けていた命の時計が静かにとまりました。

3日くらい前から食欲がなくなっていたらしく、ちょっと危ないな・・と
両親も思ってはいたらしいのですが私にはもう少し様子を見てから連絡しようとしていた矢先でした。

その日も朝から目もうっすらしか開けられなくなっていて
体を起こす事も出来なくなっていたので母がチューブ式の入れ物に水を入れて飲ませたら
やっとごっくん、ごっくんと飲んだそうです。
父が仕事へいってしまっていつものようにリキと二人きりになって
午前中、母はリキを置いて出かける事はちょっと嫌だな、とは思ってはいたらしいのですが
祖母が亡くなってからお線香を一日も欠かした事がなかったのに前日にたまたま切らせてしまって
父が一日途絶えたのを気にしていたのでちょっとの間なら、と買い物へ出かけたそうです。
でもその前にリキに
「今までありがとうね。いっぱい楽しい事したね。
でもパパが帰ってくるまで死なないでね、ママがひとりの時に死なないでね。」
と耳元でリキに沢山話をしていったそうです。

ほんの30分くらいで帰ってきてみると、リキは息をしていなかったそうです。

すぐ獣医さんに来てもらって確認してもらったら心臓も動いていないとの事でした。
でもまだ体は温かかったそうです。

動物って不思議だな、と思います。
最期の時を誰にも見られず逝きたいという野生の血。

シェリーの時も誰にも見られずひとりでした。
彼女の性格上(ちょっと犬らしくない性格で、我が家ではお嬢様と言って溺愛していた)
最期をみられず逝ったのは納得していたのだけど
リキは犬らしい天真爛漫な性格だったのできっと大好きなママに看取られて死ぬと思っていました。

動物好きで自身も「死ぬ時はひとりで死にたい」と言って実際そうだった祖母が
リキの望み通りひとりで逝けるよう取りはからったような時間でした。


仕事中、リキが死んでしまったと泣きながら母から電話がきて
早退させてもらって電車で実家に向かう間
子犬の頃からの事を思い出して、時々人目もはばからず電車の中で泣きました。

私が帰った時、まだ父も、もちろん静岡から新幹線でやってくる姉も来ていなくて
母はリキとふたりきりでした。
シェリーが死んだ時、認めるのが嫌で私はなかなか家の中に入っていけなかったけど
今回はまず母が心配だったのと、リキの死はある程度覚悟ができていたので
すぐドアを開ける事ができました。

リキを撫でてやって声をあげて泣きました。


リキは長い事本当に頑張ってくれた。
10歳すぎてから胸に脂肪腫ができていて最後にはものすごい大きさになっていて苦しかったと思う。
寝たきりになってからは腰や肩、足に床ずれができてしまって痛々しかった。
もうこれ以上望むのは酷だったし、家族もやりきった感があったので後悔はしていない。
リキは老衰で最後の最後まで命を使い切って天命を全うしたと思う。

火葬してもらってリキは白い骨になった。
牙も最後まで一本も抜けなかったのでしっかりとした形で残っていた。
ビリケンさん、と呼んでいた頭頂部のでっぱった骨もちゃんと残ってた。
うちでは骨壺に納めてもらった骨をシェリーの時から家に置いてあるんだけど
シェリーも死んでから初めてリキのと見比べてみる為に開けてみた。
一回り大きかったリキの方が骨も大きくてのど仏も比べてみたら
オスのせいかでっぱりもやはりリキの方が尖っていた。
骨になってしまうと不思議と、ここは何処の骨ね、と言えてしまうのがすごい。


リキは我が家にくるまで幸せとはいえない環境で育ってきた。
一緒に生まれたシェリーが我が家に貰われてきてリキはよその家に貰われていった。
でもそこの家の先住犬と折り合いが悪くて、しかも予想以上に大きくなった為か
子犬のかわいい頃だけで生家に返されてしまった。
生家も母犬と祖母犬が飼われていたし飼い主さんも高齢だったので持て余し気味で
妹犬のシェリーがいる我が家に時々数ヶ月単位で預けられて遊びにきていた。
リキが1歳7ヶ月の時に預かっていたのがいつのまにか居候のようになり
結局うちの子になった。
でもリキは性格がいいので会う人会う人皆に可愛がられた。
神経質で家族にしか興味のないシェリーと違って
自分を愛してくれる人になら、誰にだって愛をふりまいているような子だった。


みんなの為に愛をいっぱいくれてありがとう。
色んな事思い出すね。
脱走犯でしょっちゅう勝手に家から出てひとり散歩にいってしまって
私が追いかけると楽しそうに逃げて行くリキ。
大きいくせに雷が嫌いで乗れるはずないのに私の膝の上によじ上ってこようとするリキ。
シェリーと遊ぶときは必ず自分が下になってあげるリキ。
風呂上がりに私が牛乳を飲むのをしっていて冷蔵庫をあけるといつのまにかやってくるリキ。
食いしん坊でテーブルの上に頭だけ乗せてまっているリキ。
シェリーをお風呂に入れている時シェリーに「ブルブルして」と言ったのに
風呂場の外で自分は濡れていないのにブルブルしていたリキ。
家族で喧嘩していると仲裁しようとするシェリーと違ってひとり暗闇で震えていたリキ。
口が堅いから、と皆がリキに相談事をしてほんとは皆の秘密を知ってるリキ。
15年分の思い出をありがとう。
私の人生の半分も一緒に過ごせて幸せだったよ。



ああ、リキはもういないんだな、と考えると凄くさみしい。
悲しさはないけどもうあの子に会えないんだ
あのふかふかの毛並みを触る事も、大きな足でお手を何度もしてくれる事もないんだと思うと
もの凄くさみしい。
さみしいよ、リキ。


でも今頃は元気な姿でシェリーと走り回っているのかな。
ふたりでいたら淋しくないね。


リキ、ありがとう。
いつまでも愛してるよ。

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コメント

あ~…涙が出てしまいました。
さびしいさびしい日々だと思いますが
家族でいっぱい語りあってあげてください。
きっと嬉しそうな顔して聞いていると思うなぁ…。

投稿: かいこ | 2009年1月29日 (木) 23時41分

職場で涙ためながら読みました。
リキさん、天国へ旅立ったのですね。
悲しくないケド寂しい気持ち、よく分かります。
時々思い出を語って、時々涙をこぼして、時々リキさんの話題で笑って…
そんな風に自然で穏やかな時間がご家族の間を流れていきますように。
そして天国でもリキさんが穏やかで幸せな日々を送れますように…

投稿: army | 2009年1月30日 (金) 17時11分

リキ氏はこの家庭に出会うことが出来て幸せだねぇ。

長生きすると、人も動物も、色々あるんだね。
リキ氏がどんなふうにここの家族になったのか知らなかったから。

動物って、本当に不思議なものですなぁ。
涙なくして読めませんでしたよ。
哀しいだけじゃなくて、その不思議な力に触れることができました。
これも、周囲に現れた、リキ氏の及ぼす力の一つですな。

投稿: ゆーき | 2009年1月30日 (金) 22時11分

なんにも言えません。
幸せだったと分っていても、お別れは寂しいし、悲しいし、とても痛い。
生きているものにはいずれはやってくる仕方のないことなんでしょうけど。

投稿: mii- | 2009年1月30日 (金) 23時11分

かいこさん
やっぱり来るべきときが来てしまうと覚悟しててもさみしいです。
でも思い出すのは何故かリキのおかしな様子ばかり
なんとも皆を癒してくれる子でした。
きっと今でもあへ〜と笑ってるだろうなぁ。

armyさん
リキも今頃armyさんのところのカール君と天国で挨拶してるかもしれませんね!
その後お父様も気持ちが落ち着かれたでしょうか?
介護が必要だと大変ではありましたが、
母もその分それが生き甲斐のようになっていたので気落ちしています。
でも時間が解決してくれるのを待つしかないんですよね。

ゆーきさん
リキはうちの子で幸せだったと自信をもってそれは言えます。
ひとつ怒っているとしたら去勢したことかな(笑)
(妹犬と一緒にいて発情するので仕方なかったんですけどね)
でも特に大きな病気や怪我もしたことはないし
大往生だった、と思うとリキの犬生は全うしたと思います。

mii-さん
ジジと同じ歳のリキですが、逝ってしまいました。
痛い、っていう気持ち、本当にそうです。
心のどこかがちぎれてしまいそうな感じです。
でも自然に治っていくものなんですよね。

投稿: cherie | 2009年2月 1日 (日) 20時02分

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