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2009年10月20日 (火)

Carpe Diem 今を生きる

感動物の映画が見たくてレンタルで見た「今を生きる」
たぶん見るのは10年ぶりくらい。

Dead_poets_society

1989年の作品。
規則の厳しい全寮制のエリート男子高校が舞台。
抑圧された環境の中、型破りな英語教師が赴任してくる。
教師(ロビン・ウィリアムス)は自分の事を生徒達に「船長(キャプテン)」と呼ばせ
教科書を破り捨てさせ、詩とは何か、生きる事は何を教えようとする。
生徒役に若かりし頃のイーサン・ホークも出ています。
ラストシーンは泣けます。

自転車で湖畔の丘を下っていく渡り鳥が飛立つシーンや
雪の中哀しみで駆け出していくシーン。
秋から冬にかけてのアメリカの風景もとても美しい映画です。

若い頃ってこんなだったなぁって切なくなる物語。
あと数年たてば親や学校からの呪縛を逃れて自由になれるのに。
大人になった今だからわかるけど、実際自分が当事者だった頃は同じような気持ちだった。
今自分が生きている狭い環境が全てで、そこから逃げ出す術もない。
とにかく時間が過ぎ去って自立できる年齢まで待つしかない。
私もピーターパン症候群と逆で早く大人になりたかった。
今でも子供時代に戻りたいと願った事なんて一度もない。

この映画を見ると思い出す先生がひとりだけいる。
高校の時の数学の先生。
仲のいい先輩のクラス担任で、そのクラスは学校で一番団結力のあるクラスだった。
文化祭や体育祭でも全校をひっぱっていたし、先輩のクラスは仲が良かった。
私はその先生には2年生のとき数学を習っていた。
その先生の一番はじめの授業が印象に残ってる。
自己紹介では
「まず、学校の仲では僕は先生だけれど、校門を出たら先生ではないので
 僕の事を外で見かけたら「先生」とは呼ばないでください。
 声をかける時は、Jちゃん(実際学校ではニックネームで呼ばれていた)でもJさんでもいいので」
といい、自分が何故うちの高校の教師になったかも話をしてくれた。
私の学校は特に進学校でもなんでもない普通の都立高校で、校則もそんなに厳しくはない方だった。
先生はもともと神奈川県では有数の有名進学校の数学教師だった。
学力重視のその学校は成績も段階ごとにわかれていて
その段階のトップ(Aランク)でないと生徒会にも立候補ができないシステムだった。
先生はそんなのは学生にとっておかしいといい、学校に働きかけてもいいのでは?と生徒を鼓舞した。
生徒達は会を発足して学校に働きかけた。
規律も厳しい学校側はそれを認めなくて生徒達に誰の案なのか問いただした。
まさに「今を生きる」のよう。
その後先生の授業には何故か教室の後ろにもう一人別の先生が立つようになった。
しばらくすると教育委員のような人も立つようになった。
段々受け持ちの数学の授業の数が少なくなっていった。
そしてある日完全に先生の受け持ちの授業がなくなっていた。
先生はその学校を辞めた。

「僕はね、負けたんです」
笑って先生は言った。

私は学校の授業の中で数学が最も苦手で嫌いだ。
理数系が完璧にダメなタイプなので成績も悪かった。
高校三年は私は文系授業と選択で美術しか専攻していなかったので考えてみると
大嫌いな数学はこの先生の授業が最後だ。
でも先生の授業は最後の最後でほんのちょっとだけ数学の楽しみがわかったような気がする。
私の学校は都立なのに単位制だったので単位を落とすと進級できなかった。
そのくせ追試がなかったので赤点をとってしまうと挽回のチャンスはなかった。
単位を落としてダブったり中退してしまう子も何人かいた。
学年末試験前、先生だけは予習のクラスを開いてくれた。
成績に不安のある生徒は自主的に参加して先生から教えてもらえた。
私と友達も参加して、今までわけがわからなかった数学の問題も解けた。
予習の最終日にテストをやった。全問解けた。
次の日の学年末の数学のテスト、一問だけ予習のテストと同じ問題があった。
あれは先生の気持ちだったんだろうな。
その時のテストは私の人生、数学のテストの中で一番高得点だった。

学校で、授業前や放課後に音楽室からピアノが聞こえて来る事がよくあった。
ピアノはその先生が弾いていた。
先生は子供の頃からピアノをやっていて、音楽の道を行くか数学の道を行くか迷ったというくらい上手かった。
先生はその年、美人で有名だった音楽の先生と結婚した。

卒業後、他の都立高校に移動になった先生に電車で偶然会った事がある。
もちろん「Jちゃん!」と声をかけて。


今年の春、私の母校である高校は閉校してしまった。
少子化にともなって市内の都立高校と合併して新しい学校になるのだとか。
あの変な校歌ももう歌われる事はないんだなぁ。
やっぱり少しさみしい。

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コメント

あと数年たてば、自由になれるのに…。
ホント。
あの頃は、学校がすべてでしたね。
今、悩んでいる子供がいたら、教えてあげたい。
学校がすべてじゃないよ、って。

私も、子供時代に戻りたいとは思わない。
「若い頃は良かった」って、思ったことない。
イヤな思い出があるとか、そういうわけじゃないけど。
何でだろう?
大人になりたかったわけでもないんだけど…(つか、今も成れてない)。

いい先生に出会えたねぇ。
読んでて、温かい、懐かしいような気持ちになったよ。

投稿: ゆーき | 2009年10月23日 (金) 22時29分

>ゆーきさん
学生時代、それなりに楽しかったしいい思い出もいっぱいあるけど
あそこに戻りたいとは思わないんですよね〜。
でも時々、部活(陸上部)終わりの時と同じ匂いがする日があって
そういう時は何だか胸がきゅーんってなる。

アメトークの「中学の時いけてない芸人」大好きなんだけど
「あの頃の自分へ」じゃないけど
大人になってからのほうがうんと長いのに
その頃ってやたらに一日だったり一ヶ月だったり一年だったりが長くて
果てしなく学生生活が続くような気がしてた。
でも過ぎ去ってしまえばあっという間なのにね。

うんうん、ほんとに悩んでいる子に教えてあげたい。
学校は全てじゃないよね。

mixiのうちの高校のコミュをちらっと覗いて見たら
思い出に残る先生のアンケートで同世代はやっぱりJちゃんをあげてる人が多かったよ。
「先生」ってきっとそれがホントなんだろうね。

投稿: cherie | 2009年10月23日 (金) 22時45分

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